【医師監修】卵管が片方詰まっていても妊娠できる?自然妊娠の確率とステップアップのタイミング


「卵管造影検査の結果、片方の卵管が詰まっていると言われた……」

「片方しか通っていないなら、妊娠率は半分になってしまうの?」

検査で卵管閉塞や狭窄を指摘されると、大きなショックを受ける方は少なくありません。しかし、結論からお伝えすると、卵管が片方だけでも通っていれば、自然妊娠の可能性は十分にあります。

この記事では、片側卵管閉塞における妊娠の仕組みや、気になる妊娠確率、そして不妊治療を次のステップへ進めるべき判断基準について、具体的かつ分かりやすく解説します。


1. 片方の卵管が詰まっていても妊娠できる理由

卵管は左右に一つずつありますが、実は片方が機能していれば、妊娠に必要なプロセス(受精と着床)は完結できます。

正常な卵管が卵子をキャッチする

通常、排卵は左右の卵巣から交互、あるいはランダムに起こります。詰まっていない側の卵巣から排卵が起これば、その側の卵管が卵子をスムーズにキャッチし、精子と出会うことができます。

驚きの「ピックアップ障害」の克服

医学的に興味深い現象として、右側の卵巣から排卵された卵子を、左側の卵管がキャッチする(あるいはその逆)というケースが報告されています。これは「クロスオーバーキャッチ」と呼ばれます。

卵管の先端にある「卵管采(らんかんさい)」は、排卵が近づくと卵巣に近づき、卵子を吸い込むように動きます。たとえ片方の卵管が詰まっていても、もう一方の卵管が健康で柔軟であれば、反対側の卵子を拾い上げてくれる可能性があるのです。


2. 妊娠率は本当に「半分」になるのか?

「卵管が一つしかない=チャンスが50%に減る」と考えがちですが、実際にはそこまで単純な計算ではありません。

  • 自然妊娠の確率: 多くの研究データでは、片方の卵管が健康であれば、両方が通っている場合と比較しても、累積の妊娠率は大きく低下しないことが示されています。

  • 排卵のタイミング: 詰まっている側から排卵した月は、確かに物理的な受精の確率は下がりますが、通っている側から排卵する月を逃さずタイミングを合わせれば、十分にチャンスはあります。

ただし、卵管が詰まっている原因が「子宮内膜症」や「過去のクラミジア感染」である場合、通っている側の卵管も内部の繊毛(卵子を運ぶ毛)の機能が低下している可能性があるため、注意深い観察が必要です。


3. ステップアップを検討するタイミング

片方の卵管で自然妊娠を目指す場合、どのくらいの期間、様子を見ても良いのでしょうか。一般的にステップアップを検討すべき基準は以下の通りです。

タイミング法・人工授精を続ける目安

  • 期間: 検査後の「ゴールデン期間」を含め、半年から1年程度。

  • 条件: 女性側の年齢が35歳未満で、通っている側の卵管の状態が非常に良好である場合。

ステップアップ(体外受精など)を考えるべきケース

  • 年齢的な要因: 35歳以上、特に30代後半以降は卵子の質や数も変化するため、早めのステップアップが推奨されます。

  • もう片方も疑わしい場合: 通っている側も細くなっていたり(狭窄)、癒着の疑いがある場合。

  • 男性不妊の併発: 精子の数や運動率に課題がある場合は、卵管の状態に関わらず高度生殖医療への移行が近道となります。


4. 治療の選択肢:FT手術(卵管鏡下卵管形成術)

「どうしても自然に近い形で授かりたい」という場合、詰まっている側の卵管を通す**「FT手術」**という選択肢があります。

  • 内容: 極細のカテーテルを卵管に挿入し、詰まりを押し広げる手術です。

  • メリット: 体への負担が少なく、日帰りで行えることが多いです。成功すれば、再び左右両方の卵管でタイミング法に挑めます。

  • 効果: 手術後の半年間は特に妊娠率が高まることが知られています。


5. 前向きに妊活を続けるためのマインドセット

片方の卵管閉塞は、不妊の決定的な原因ではなく、あくまで「一つの特徴」に過ぎません。

大切なのは、「片方しかない」とネガティブになるのではなく、**「通っている片方の卵管と、今の排卵周期をいかに大切にするか」**という視点を持つことです。専門医と相談しながら、自分の卵巣予備能(AMH検査など)と照らし合わせ、納得のいくスケジュールを立てていきましょう。


まとめ

卵管が片方詰まっていても、自然妊娠の希望は決して失われません。人間の体には補い合う力が備わっており、適切な医療サポートを受けることで、多くの女性が妊娠・出産に至っています。

今の自分の体の状態を正しく把握し、医師のアドバイスを受けながら、あなたにとって最適なステップを選んでいきましょう。焦る必要はありませんが、時間は有限です。「いつまでに結果が出なければ次へ行く」という期限を決めておくことが、心の安定と早期の授かりに繋がります。

次への一歩として、まずは次回の診察で「通っている側の卵巣からの排卵日」を正確に特定することから始めてみてはいかがでしょうか。


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