移植後から判定日まで「症状なし」でも陽性?不安を解消する新常識と過ごし方のコツ


体外受精や顕微授精を経て、胚移植を終えたあとの「判定日」までの期間。この時期は、期待と不安が入り混じり、自分自身の体の変化にいつも以上に敏感になりますよね。

「なんだかいつもと変わらない」「全く症状がないけれど大丈夫かな?」と、インターネットで検索しては一喜一憂している方も多いのではないでしょうか。実は、移植後にいわゆる「初期症状」が全くなくても、判定日に陽性が出るケースは非常に多くあります。

この記事では、移植後から判定日まで無症状でも陽性になる理由や、この時期の体の仕組み、そして判定日を健やかに迎えるためのマインドセットについて詳しく解説します。


移植後に「症状なし」でも問題ない理由

胚移植後の判定待ち期間、いわゆる「ソワソワ期」に、吐き気や腹痛、胸の張りといった「妊娠初期症状」を期待してしまうのは自然なことです。しかし、医学的な観点から見ると、無症状であることは決して珍しいことではありません。

1. ホルモン剤の影響と個人差

高度生殖医療においては、移植前から判定日にかけて、エストロゲンやプロゲステロン(黄体ホルモン)などの薬剤を補充する「ホルモン補充周期」をとることが一般的です。

胸の張りや下腹部の違和感などは、妊娠による変化ではなく、これらの薬剤の副作用として現れることが多々あります。逆に、薬剤に対して体が安定して反応している場合、不快な症状が出ないこともあります。症状の有無は「妊娠の成否」ではなく「薬への反応や体質」による部分が大きいのです。

2. 妊娠超初期症状はまだ出ない時期

胚が着床し、妊娠が成立するプロセスにおいて、HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌され始めます。このHCGの分泌量が増えることで、いわゆる「つわり」などの症状が引き起こされます。

しかし、判定日(一般的に移植後7日〜14日程度)の段階では、まだ体内のHCG濃度はそれほど高くありません。そのため、体が敏感な方を除いて、客観的な自覚症状が出ないのがむしろ標準的と言えます。


「症状がある」人と「症状がない」人の違いとは?

SNSやブログなどの体験談を見ていると、「足の付け根がチクチクした」「少量の出血があった」という声が目に入り、自分と比較してしまうかもしれません。しかし、これらには以下のような背景があります。

自覚症状の正体

  • 着床出血(月経様出血): 全ての妊婦さんに起こるわけではなく、全妊娠の数パーセントから2割程度と言われています。

  • 腹痛・違和感: 子宮が大きくなろうとする準備のほかに、移植時の刺激や腸の動き、ストレスによる自律神経の乱れからくることもあります。

つまり、「症状がある=陽性確定」でもなければ、「症状がない=陰性確定」でもありません。 実際に、前回の移植で症状があったのに陰性だった方が、今回は無症状なのに陽性だったというケースも枚挙に暇がありません。


判定日までの過ごし方:避けるべきこと・すべきこと

判定日までの約1〜2週間は、心身ともにストレスがかかりやすい時期です。結果を左右するのは胚の生命力と着床環境ですが、リラックスして過ごすことは血流の改善にもつながります。

1. 「検索魔」からの卒業

スマートフォンの普及により、自分と似た状況の人を24時間探すことができます。しかし、他人の体験談はあくまでその人のものであり、あなたに当てはまるわけではありません。

ネガティブな情報に触れてストレスを感じるくらいなら、思い切ってSNSや検索を休む時間を作りましょう。

2. 適度な保温とリラックス

極端な厚着は必要ありませんが、お腹周りや足元を冷やさないように心がけましょう。温かい飲み物を飲んだり、リラックスできる音楽を聴いたりして、副交感神経を優位に保つことが、子宮の環境を穏やかに保つ助けになります。

3. 日常生活を普段通りに

「安静にしていなければ」と寝たきりになる必要はありません。激しい運動は控えるべきですが、家事やデスクワーク、散歩などの日常生活はむしろ血流を促すために推奨されます。


早期妊娠検査薬の使用について

判定日前に自分で検査を行う「フライング検査」についても、メリットとデメリットを理解しておくことが大切です。

  • メリット: 心の準備ができる。

  • デメリット: 使用時期が早すぎると、正確な結果が出ずにかえって不安を煽る(偽陰性)。また、ホルモン注射の成分が残っていて陽性反応が出る(偽陽性)可能性がある。

判定日に病院で行う血液検査や尿検査が最も正確です。自分を守るためにも、病院の指示に従ったタイミングで確認することをお勧めします。


判定を待つあなたへ伝えたいこと

不妊治療の道のりは、目に見えない努力の連続です。特に移植後は、自分の努力でコントロールできることがほとんどなく、ただ待つしかないもどかしさがあります。

「症状がない」というのは、裏を返せば**「体が安定した状態にある」**とも言えます。体の小さな変化に一喜一憂するのではなく、「今は卵を信じて、穏やかに過ごそう」と自分を労わってあげてください。

もし、判定日に向けて不安が募る時は、深呼吸をして、温かいスープを飲み、好きな本や映画に没頭してみてください。あなたの体が本来持っている力を信じることが、何よりの支えになります。

最後に

判定日まで無症状で過ごし、驚くほどあっさり陽性判定を受ける方は本当にたくさんいらっしゃいます。今のあなたの状態が「順調である」可能性は十分にあります。

明日の朝、少しだけ自分を褒めてあげてください。ここまで頑張ってきたあなたの体は、それだけで十分に素晴らしいのですから。


よくある質問(FAQ)

Q. 判定日直前に生理前のような鈍痛があります。諦めるべきですか?

A. いいえ。生理前の症状と妊娠初期の症状は、どちらも黄体ホルモンの働きによるものであり、非常に似ています。この段階で判断することはできませんので、自己判断で薬を中止せず、判定日を待ちましょう。

Q. おりものの変化はありますか?

A. おりものの量が増える方もいれば、全く変わらない方もいます。これに関しても個人差が激しく、判定の指標にはなりません。

Q. 基礎体温が下がってしまいました。

A. ホルモン補充周期の場合、基礎体温は外因的なホルモンによって維持されています。測定のタイミングや環境で変動しやすいため、一喜一憂してストレスを溜めるなら、この時期は測定をお休みするのも一つの手です。


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