自由記述欄(定性データ)をどうまとめる?読み手の納得感を生む「生の声」の引用と分析のコツ


アンケート調査において、数値で測る「定量データ」と同じくらい、あるいはそれ以上に価値があるのが、自由記述欄に書き込まれた「生の声(定性データ)」です。

しかし、いざまとめようとすると「膨大なコメントをどう整理すればいいのか分からない」「自分の主観で選んでいいのだろうか」と悩んでしまう担当者は少なくありません。ただコメントを羅列するだけでは、読み手には何も伝わらず、せっかくの貴重な意見が埋もれてしまいます。

この記事では、自由記述欄の分析方法から、報告書で読み手の納得感を最大化させる引用のコツまで、具体的かつ実践的に解説します。


自由記述(定性データ)を分析する目的とは?

数値データは「何が起きているか」を教えてくれますが、自由記述は「なぜそれが起きたのか」という背景や理由を教えてくれます。

  • 定量データ: 満足度 80%(現状の把握)

  • 定性データ: 「操作画面がシンプルで迷わない」「対応が早くて助かった」(理由の解明)

この「理由」を正しく抽出することで、具体的な改善策や、次の施策へのヒントが見えてくるのです。


膨大なコメントを整理する「アフターコーディング」の手順

数百、数千ものコメントを整理する際、最も効果的なのが「アフターコーディング(コード化)」という手法です。以下の3ステップで進めましょう。

1. 全てのコメントに目を通す(全件把握)

まずは先入観を持たずに、すべての回答に目を通します。この際、ポジティブな内容か、ネガティブな内容か、あるいは要望かといった「感情の方向性」を意識すると後の作業が楽になります。

2. カテゴリ(ラベル)を割り当てる

似た内容のコメントをグループ化します。

例えば、スマートフォンのアプリに関するアンケートであれば、「操作性」「価格」「デザイン」「機能の豊富さ」「不具合」といった具合にラベルを付けていきます。

3. 数値化してボリュームを把握する

各カテゴリに何件のコメントがあったかをカウントします。これにより、定性データであっても「どの課題が最も多く指摘されているか」という、客観的な優先順位を出すことが可能になります。


読み手を説得する「生の声」引用の3つのルール

分析した結果を報告書にまとめる際、ただコメントを抜粋するだけでは不十分です。説得力を生むためのルールをご紹介します。

ルール1:極端な意見ばかりを拾わない

分析者の主張を裏付けるために、1件しかないような過激な意見や珍しい意見ばかりを強調するのは危険です。

「多くのユーザーが指摘している代表的な声」をメインに据え、その上で「見落とせない鋭い指摘」を少数添えるのが、バランスの良い報告書です。

ルール2:定量データとセットで配置する

グラフの横に、その数値を象徴するようなコメントを添えましょう。

例えば「満足度が低下している」という棒グラフの横に、「〇〇の機能がアップデートされてから使いにくくなった」という生声を引用することで、読み手はグラフの背景を瞬時に理解できます。

ルール3:文体は変えず、文脈を補足する

引用する際は、回答者の言葉をそのまま使うのが基本です。ただし、誤字脱字がひどい場合や、意味が通りにくい場合は、[ ](角括弧)を使って補足情報を入れましょう。

(例:「あれ[新機能の検索ボタン]が使いにくい」など)


効果的な「図解」で定性データを可視化する

文字ばかりの報告書は、読み手の集中力を削ぎます。自由記述の結果を視覚的に伝える手法を活用しましょう。

マトリックス図での整理

「重要度」と「満足度」の2軸でコメントを配置すると、どこを優先的に改善すべきかが一目で分かります。

ワードクラウドの活用

出現頻度の高い単語を大きく表示する「ワードクラウド」は、アンケート全体の雰囲気を直感的に伝えるのに適しています。冒頭のサマリー(要約)部分で使用すると、インパクトのある導入になります。


よくある失敗:主観による「チェリーピッキング」を避けるには?

自分の仮説に都合の良い意見だけをつまみ食いしてしまうことを「チェリーピッキング」と呼びます。これを防ぐためには、以下の対策が有効です。

  1. ネガティブな意見こそ丁寧に扱う: 耳の痛い意見を無視せず、「課題」としてしっかり抽出する。

  2. 第三者のチェックを入れる: 分類作業を一人で行わず、チーム内で基準をすり合わせる。

  3. 「N数(回答数)」を明記する: その意見が全体のうちどれくらいを占めるのか、規模感を併記する。


まとめ:生の声は「共感」を生む最強のツール

自由記述欄のまとめ作業は、手間がかかる仕事です。しかし、数値だけでは動かない人の心を、たった一つの切実な「生の声」が動かすことがあります。

データを整理して数字に変える「冷たさ」と、回答者の想いに寄り添う「温かさ」。この両方を持ち合わせることで、あなたの報告書は格段に説得力が増し、次のアクションへとつながるはずです。

まずは、集まったコメントを「ポジティブ・ネガティブ・その他」の3つに仕分けるところから始めてみませんか?


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